お祝いは日本料理で「一菜ますや」

焼肉の絶対回数が減っている昨今、やはり寄る年波には勝てず和食へと傾倒しております。そんな訳で最近お気に入りの日本料理店など行ってきましたのでご紹介がてら。

思い返せば昨年の夏頃。良く通る道すがらにそのお店はありました。パッと見たところ、ちょっと高いかな?と思わせるのですが、店頭のメニューを見る限りそんなことはない。まったく別に見ていた御料人様と二人して「絶対に旨いはず」と意見が合いましたのでお店の方へ入ってみたのが「一菜ますや」との最初の出会い。もうね、その一回で惚れ込みましたとも。

なにせ安くて旨い。料理はご店主お一人でこなしてらっしゃるのですが、四人テーブル二席とカウンター七席を見事に回すその手腕。こういう店こそ我ら夫婦の好みなのです。で、それ以来週に一度は伺っているといえる頻度で呑み喰らっております。ま、そのくらい好きなのです。愛しているのです。時々イベントにも津合わせて頂いたりしております。

と、そのくらい気に入っていますから、御料人様のお誕生日といえばここでお願いするに決まっております。ええ、お願いします。こちらのお店、コースというのがあるのですが3,000円かららしいです。しかしここは非常にオメデタイ御料人様の御生誕祭。豪勢にいきましょうと破格の5,000円コースを作って頂きました。特注コース。アラブの富豪のような剛胆さで。

imageまずはやって来ましたのが【毛蟹の和え物】から。蟹、甘いです旨いです。そして茗荷が良いアクセントになってます。こういう上品な一品がたまらんですわ。ちなみに、一杯目を生ビールにしたことを激しく後悔。人生で後悔はしない方だけど、こればっかりは大後悔時代の幕開け。日本酒、日本酒が欲しい!ということで早々にビールを飲みきって日本酒に。

imageさてここで【八寸】の登場。見目麗しきその姿に思わずこぼれる感嘆の溜息なのです。まず目をひくのは”車海老”。美しい。頭まで食べてしまうその旨さ。そして季節の”ホタルイカ酢味噌和え”。目と骨を抜いてあるので実に雑味がない。ああ、幸せ。さらには”焼鯖とトマトのタルティーヌ”と、和と洋の融合。そう、このお店の特徴はところどころで洋の旨味を加えてくれるところ。

image海のものの次には山のものを。春ですから筍の木の芽和え。そして”ふきのとうの天ぷら生ハムのせ”は一口でいただくとほろ苦さと生ハムの甘味が絶妙。”スナップエンドウ”を摘みつつ”山葵の茎のおひたし”でぴりりと刺激を。ああ、もうこの八寸だけで幸せ指数が急上昇。目からも舌からも楽しませて頂けるという、素晴らしさではないですか。

imageつづいては【焼鯛と新玉葱のスープ】なのです。見た目は味噌汁?という感じですがこれ、旨いです。玉葱の甘味がぐんと前に出て、しかも焼鯛は一夜干しを炙っているのか香ばしさがたまらん。がふがふと日本酒が進みそうなのをなんとか理性で踏ん張るのです。これがフンボルトペンギンならここまで我慢できません、などと適当なことをいいつつ、次の料理。

imageそう、和食の要は刺身です。【刺身盛り合わせ】ですわ、奥様。本日のお刺身は”明石天然鯛”と”シマアジ”、”赤貝”と”本マグロ”という取り合わせ。鯛、旨いです。かるく昆布でしめてますか。赤貝は新鮮な磯の香り。マグロなんて口の中で旨味がジュワリと溶け流れ出して来ちゃいますわ。ああ、なにこの旨さは。やっぱり日本に生まれて良かったと感じるひととき。

image次の【若竹煮】は出汁の旨さが際立ちます。筍の風味そのままに舌に柔らかく味はふんわりとしっかり。これこそ美しい和の心。菜の花とコゴミが春を演出してくれるなんとも優美な炊き合わせ。そしてまたしても洋の味。【アワビのグラタン】をいただきましょう。あのね。もういうこと無し。アワビは刺身でこりこりっと頂くのも旨いですが、火が入るとまた別物。

image柔らかく、それでいてしっかりと歯応え。噛んだところから吹き出す旨味。磯とは違う香り。グラタンになってもそれが損なわれていないのです。そう、味付け自体が繊細なので日本酒にすら合ってしまうという魔法のグラタン。ちなみに焦って食べると舌を火傷しますよ。ええ、危うくやっちまうところでした。最近は理性的に生きておりますので最悪の事態は回避しましたけどね。

image【賀茂茄子の揚げだし】というありふれた感すらありそうな料理。これもしっかりとした出汁とみぞれ大根が見事なまでに一級品へと昇華してくれます。旨い、もはや日本酒を我慢するのも限界が近くなってきた。すみません、お代わりお願いします!だって、次は天ぷらなんだもの。【ホワイトアスパラの穴子巻き天ぷら】なんて日本酒なしでは無理というものでしょ?そうでしょ?

imageこれが梅塩でいただくと泣けてくるのです。穴子の脂が甘くホワイトアスパラを包み込んで旨味になり、それを梅塩がさらに高見へと導くという三段活用。ああ、もうねココん家の子になりたいわ。毎日こんな旨いモン喰いたいわ。あーもう、あーもう、旨すぎだっての。で、〆はご飯ですね。ええ、もう〆ますよ、しまっちゃいますよ。

image【にぎり寿司】は四貫。”鯛、シマアジ、しめ鯖、但馬牛”となんとも素晴らしいラインナップ。鯛とシマアジは刺身でもいただきましたが、酢飯と合わさるとまた新しい味の夜明け。なんだろう、酢飯の甘さが魚の旨さをさらに引き出してるんでしょうね。酢飯のポーションが小さいところも良い。軽く一口で喰っちゃう手軽さが本当に旨いをひとまとめにした感じなのです。

ちなみにこの店のしめ鯖は我ら夫婦の最強共通言語となってます。しめ鯖と言えば一菜ますやといっても構わないくらいに。但馬牛の握りは炙ってます。炙ったためにサシが溶け出して酢飯と融合。まさに最強のにぎり寿司。良かった、最後に牛肉が出てくれて。これで焼肉の罠の面目躍如、ひとり言書いても怒られないぜ。いや多分だれも怒らないけど。

【フルーツトマトの蜜煮】でおしまい。この蜜煮もさっぱりと旨い。ここまでが味の強弱つけながらのコースでしたが、上品な甘味で終わる幸せ。あふぅ、まさに大満足だったのです。いやいや、たまらんですねぇ。実にすばらしい御料人様の御生誕祭の宴となりました。さて、私の誕生日もここでお願いしようかしら。

いやそこは焼肉だろうというツッコミを背中で感じつつ。
和食も焼肉も大好きなのです。

今回のお店:
一菜 ますや
兵庫県神戸市中央区相生町4-4-12
TEL.(?078)351-0025