北陸旅だより『富山・板前料理』

金沢の美味しい魚を食べまして、翌日は移動。ホテルに荷物を預けてお昼ご飯を探しに行きます。前夜、閉まっていたお店もお昼なら…、って、やはり閉まってますか。仕方がない。ちょっと足を伸ばして。
てなことで町中をぶらぶらと朝っぱらから。で、行けども行けども心惹かれるお店無し。カレースタンドとか、ファーストフード店とか。どうしようかと言いながら歩いていると断続的に雨。ハッキリ言ってびしょぬれ。
なので結局駅まで戻って昼食。まぁ、敢えていいませんが、日替わり定食をお願いしたらイカの煮付けが乾いていた。味はいいんですが、昼時のあの出入りの激しさは、皿に盛りつけて作り置きという。うん、まぁ仕方ない。味噌汁と一品の具が同じ(芋と豆腐)というのもご愛敬。
で、雨のしとしと降る中ホテルに戻ろうと歩き出すと、コレが貴方。あるわあるわ心惹かれるお昼の定食。ショック!なのですが、どうせまた来る時には同じホテル。次回のお楽しみとしておきましょう。
さて、再びサンダーバードで移動。富山着。旅の最終地富山。早速「立山」のワンカップを購入。そして富山といえば「鱒(ます)の寿司」ですがな。ちょいと間食用に一口鱒の寿司ってヤツを購入。本当は「鰤の寿司」も欲しかったのですが無かったので鱒・鯖・鯛の一口寿司。
うん、普通に美味しい。まぁね。駅の土産物コーナーですから多くは望みません。普通が一番。こういうところなので当然よく酢で〆てあり実に無難な味付けなのです。鱒と鯖を二人で半分こして。
それではいよいよ夜の町に…、と思ったのですが、まだどう考えても時間が早い(16:00)ので御料人様は展望大浴場、私は立山でエンジンを暖めて。暖機運転はエンジンを長持ちさせるのです、と言い訳などしながら。
で、銀嶺立山。普通種と書いてあるとおり普通に美味しいお酒。っていうか、この酒がワンカップで普通に呑めてしまう辺りに北陸の酒に対する底力みたいなものを感じます。これって、菊正宗や大関のワンカップと扱い同じですもの。ちょっと高いけど。
てなこと言いながら、御料人様がお風呂からご帰還。いよいよ出発と相成ります。今年の初頭に富山まで来ながら定休日(日祝水)だったために断念した、あの「板前料理 おら」へと向かいます。
いやね、前回の反省をふまえて、土曜日の開店と同時狙い。17:00到着。仕込み中。よし!こんばんわぁ。おおぉ、どうも!覚えてくれてましたか、一年ぶり二度目なのに。さすが商売の方は記憶力が違いますね。
で、カウンターのスミに座らせて頂き、早速出てきたのが「ハラハラ」という生のイクラ…って、生ですか。これは凄い。これがお通しってのも凄いですが。硝子よりも透明感のあるイクラ。これを箸でつまんで…箸でつまんで…箸でつ…ああ、つるつるとしてつまめない。
へ〜生のイクラってこんなにパンパンに張っていてつるつるなんですね。猪口からそのまま口を付けて頂くと、まさに磯の味。旨!いきなりアッパーカット喰らいましたね。今まで喰ったイクラって偽物だったの?と思うほどの旨さ。
「梅貝(ばいがい)あるよ」、頂きます。あとはお任せしますので美味しいところお願いします。まぁ、どう考えても不味いものが出るとは思えませんが。実はここのご主人、有名な板前さんだそうで、腕の方はピカイチなのです。ですからお任せ。
前回はあまりに調子に乗りすぎて訳分からなくなったので、今回はセーブしながらスタート。我ながら頑張ってますよ、節制節制。で、梅貝。大振りの梅貝は実に旨い。爪楊枝ででろりんと出して、って、あああ、また尻尾ちぎれた。
てな感じでお酒と一緒に楽しんでいたところ、刺盛りがやって来ましたよ。あうあう、これはまた。甘海老(あまえび)に青利烏賊(あおりいか)、きじハタ、鮃(ひらめ)などなど。甘海老ウマー!烏賊ウマー!な訳なのですよ。
で、この霜降り、これ何だっけ?もう勢い込んで喰っちゃったので分からない。鮪(まぐろ)のトロ?いや、もうウマイの何のということで御勘弁。やはり私に魚の事など分からないのです。出されたものを美味しく頂くのみ。
で、今回一番はなんと〆鯖。これが絶品。もうね、〆てあるのかないのか分からない位の微〆感覚。これが堪らなく旨い。甘いといってもいいほどの身の旨味が、微妙な〆加減で引き締まって実に旨い。
この刺身達を喰らいつつ、次の料理に備えてお酒をちびりちびり。「今日はゆっくり食べていって」とおっしゃいますが、この料理を前にのんびり食べるほど人間出来てません。喰う喰う、あっという間に。
てなことをやってますと、予約のお客さんが入ってらっしゃり、いよいよご主人にもエンジンがかかります。ていうか、ガソリン投入(飲酒)ががんがんと。うひょーです。出てきたのが白海老(しろえび)。ほら、富山名物。
この小さな白い海老が実に旨いのです。甘海老の数倍の甘さと言っても過言ではない、そんな旨さ。で、そのまま食べていたら、「ちょっと待って」と海老の上にウルカを。うわぁ、こ、これは。
もうね、幸せ至極。極上の白海老にウルカの塩っ気で。旨すぎ。旨すぎて気を失いそうになるのですが、ここで倒れている場合じゃない。さすがにこの辺りから食のペースを落としつつ、次のお料理。
わはははは。毛蟹(けがに)だそうです。毛蟹。時季はずれですが網にかかっていたとかで。丸ごと一杯頂きました。二人で毛蟹。お隣は万寿蟹(まんじゅがに)なのに。一杯しかなかったそうで。すみません、頂きます。って、旨!これ旨!
明らかに今まで食べた北海道の毛蟹より旨い。もっとも北海道に行って喰ってないですから、それを比べちゃいけないんですが、旨いとしかいえない旨さに包まれると、つい。まぁ何といいますか「幸せ」以外の言葉が見つからないという旨さ。
で、なんだか分からないうちに、お隣のお客さんからご主人が頂いていたお酒をご相伴にあずかりました。これがまた、美味しいお酒。満寿泉(ますいずみ)の「カメ一号」ですか、ほう。何でもカメで作っているそうで、確かにカメの香り。最初、古酒かと思いましたが違うんですね。失礼しました。
で、こうなってくるともう一品。出てきたのは鰯(いわし)の煮付け。いや、こういうのが酒に合うんですよ。うほ、旨。見事に味付けられた鰯の旨さ。酒、酒がすすみすぎるのです。嗚呼、節制という言葉が遠ざかる。
でも、まぁ旨いんだし。今夜だけだし。莫迦なんだし。ということでスルー。その上やって来たのは鰆(さわら)のタタキ。ほう、こんなの初めてですよ。皮の方だけ僅かに炙ってあります。では早速…うは。
これも淡泊ながら実に味わいのある刺身。旨い旨い。淡泊なので酒に合うのは当然ですが、それ以上に醤油に合う。刺身が醤油に合うってのもおかしな話ですが、そうなんです。ぺとっと角の辺りに醤油をつけて食べると、そりゃあ貴方。最高ですよ。
もうね、この上品な料理をこんなにカッ喰らっていいのでしょうかね?そちらの方が疑問ですよ、私。普段の焼肉に喰らい付く勢いで、実に複雑で深くシンプルで上品な肴と対峙するなんて。いや、まぁ、旨いからいいんですが、喰い方ぐらい。
余りの喰いっぷりに、とうとうご主人が諦めたようで。「これ海苔で巻いて食べて…」とウニを箱ごと。いや、箱ごとって。私は松方弘樹かってなもんですよ。で、お言葉に甘えて。普段舐めるように喰っているウニを、これでもかと大盛り。
うわぁ、旨ぇよ。もうこれで痛風になっても後悔は無いよ。昨日の甘海老の卵も、今日の生イクラも、毛蟹の味噌も、ウルカも、ウニも、もうプリン体ドンと来い。旨けりゃ皿まで食い尽くすよ。
とまぁ思い切り意気込む訳ですよ。ってか本当にわしわしと喰いましたね。御料人様はさすがに健康に気を遣って三分の一弱くらいしか食べませんでしたが、私は、もう。本当にわしわしと。少しは体を気遣えよ、私。
で、ご飯もね、ということで小鯛(こだい)の握り。最後にいいものが出てきますね。これで〆が出来るというものです。ご飯ものを食べて、さぁて、ごちそ…。あ、焼き魚ですか。これは太刀魚(たちうお)。うは、好き!
いやぁ、そういえば焼き物喰ってませんよ。やはりせっかくですから喰いきらないとね。その間にも、これも呑め、これもどうぞ、と日本酒に焼酎に…。え〜と、節制が…、あ、いや、頂きます。はい、呑ませて頂きます。旨、旨い酒!
てな感じで延々四時間ほど、呑み続け・喰い続け。この幸せ。ただし節制というテーマは諦めましたがね。もう、神戸に帰ってから節制すればいいさ。ところが、最初にゆっくりと呑んだお陰か、余り酷く酔っていないのですよ。
あれですね、いつもは最初にエンジン全開でぶっ飛ばすから酔いも早いんですね。ということで珍しく健康的にご馳走様。…。あの。お店閉めるんですか?いや、あの、お店のお姉さん(麻生祐未似)が怒ってますよ。
「ゆっくり呑んで」というのは一緒に呑みに行こうということでした。あはっ、行きますよ、地獄の果てでも。ええ、富山の夜は始まったばかり(この時21:30)ですから。いや、本当に宵の口。で、ご主人にスナックなど連れられて、もう、やんや、やんやで大騒ぎ。え〜と。色々な意味で大変な事になっていますが…。

取り敢えず日付が変わる前に終わったので「節制」ということで。
しかし、大満足の夜であった事は間違いありません。

今回のお店:板前料理 おら
富山県富山市総曲輪1-1-1-13
TEL.(076)442-3433

9 comments to “北陸旅だより『富山・板前料理』”
  1. あ?、晩飯食った後でよかった。前に見てたら、飲みに行っちゃいましたよ。
     ところで最近、ワンカップのバーがあるそうですね、全国のワンカップを40種類くらいそろえて、焼酎(すでに水で割っている)まであるそうですよ。

  2. うわ〜!夕食前なので一瞬倒れそうになりました。
    是非次回は私達も参戦したいところです。
    しかしお店を早仕舞いして一緒に飲んでくれたご主人に感動すら覚えました。ステキング!!
    #ワンカップバー、、、行ってみたいよ〜!やはり神戸ですか?

  3. >アマグリさん
     私が見たのは大阪ですが、東京にもワンカップバーがあるみたいですよ。
     立喰酒場「buchi」(電話03・5728・2085)

  4. >おがちゃん
    これを昼飯も食わずに書いていた私って…(笑)
    ワンカップはdanchuで特集してませんでしたっけ?
    北陸(日本海側)だけでもかなりの種類の地酒のワンカップあるみたいですね。
    焼酎も入れると、恐らく100や200できかないかも。
    >アマグリさん
    次回は是非ご一緒に。
    ご主人は、無理して一緒に呑みに行ったのではなく、私たちをダシにして飲みに行きたかっただけです。
    ええ、断言できますとも。
    そういう愉快な方です。
    愛しています(笑)
    >おーちゃん
    いや、マジで北陸はいいですよ。
    車があれば、もっと行くんですがねぇ。
    足がないのでなかなか。
    あ、足になってくれますか?(笑)

  5. >3歳児の母さん
    わあ、よく見たら魚の名前のオンパレードでした…。
    これからは送りがなをつけようかと思います(笑)

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