富山旅行から既に半月ほどたっていますが、今更その続きがあったりします。というのも、いつも富山でお世話になっています「板前料理 おら」のご主人から、帰り際にお土産をいただいていたから。それを今頃になって。
えーと、まずは蒲鉾。富山ではよくおつかいものに使われているという「梅かま」の詰め合わせ。ちなみに熨斗にはお中元と書いてありましたので、まさにおつかいもの。こちらの昆布巻と赤巻。これは切って喰うだけですので非常にありがたくお弁当のオカズに重宝しています。ええ、まだあります。量が多いのです。
そして本命はこちら。【熊肉】です。冷蔵庫にあって、使わないから、みたいなノリでいただいてしまいました。後で調べてみたら結構な高級肉なんですね。びっくりです。正直、それなりの和牛が買えちゃうような値段ですよ、ええ。しかも1.4kgほどの大物。二人で喰うにはどう考えても多すぎるんじゃあないでしょうか?
ということで取り敢えず半分だけ使うことにしました。すっかり解凍してしまったので、半分は再冷凍ということになりますがこればっかりは如何ともしがたいのです。さて。それでは富山の板前さんに聞いた通りに調理していきましょう。「三回ほど煮こぼしてから使って」とのことでした。えーと。煮こぼす?どうするの?
たまたま神戸の和食店にいく機会がありましたので訊いておきました。「鍋でぐつぐつと煮てアクが出たら煮汁を捨てて、それを三回繰り返してください」と。なるほど。鍋から吹きこぼれるまで煮るんじゃないんですね。キッチンの掃除を考えて憂鬱になっていましたがそれなら大丈夫。落とし蓋といわれて「床に蓋を落とす」程度の料理能力ですが頑張ります。
さて、ぐつぐつと煮ます。アクがガンガンと出ます。捨てます。これを二回ほど繰り返したところで気が付きました。これ、塊ではなくそれなりに切ってからの方がよくね?ということに。あ、ちなみに茹でる際には水だけではなく臭い消し用に原酒店でいただいた「白菊」のひね酒を大量に放り込んでおります。で、やはり切った方がいいみたいでした。ブツ切りで更に二回の煮こぼし。
ようやく下茹でが完了。さて、これをどうやって喰うかということになります。ここで思い出すのは釧路へと旅行に行った際に見たお土産の缶詰「熊カレー」。よしそれでいきましょう。既に四回も煮込んでますからカレーというのは正解じゃないでしょうか?早速カレーの下準備にかかります。ほら野菜を切って炒めて、ってやつ。
じっくりと煮込んでいく訳ですが時間がかかる。つーことで、次は自分達で買ってきた方のお土産に手をつけましょう。【いなだ】をつまみつつ酒を呑む。いなだってのはあれです。干した鰤です。一尾分では数万円もするという高級品。さすがにスライスを少しだけ買ってきています。これをせっかくなので冷蔵庫に眠っていた赤ワインで。
なんで「いなだ=日本酒の肴」を赤ワインなのかとい
えば、カレーに使いたかったから。遠慮なくどぼどぼとワインを放り込んで残りを呑むのです、いなだで。いなだ、塩辛いですが実に旨い。乾燥した一枚のいなだは料亭の鰤刺一切れと同価格と思ってください。なので一枚をちみちみとつまみつつワインを呑む。そしてその間も煮込みは続きます。
で、数時間後に完成。えーと。最初に煮込み始めた時には結構な臭いがしていましたが、カレーとなった今ではビーフカレーと見分けが付かない。そしてカレーの臭いで熊の獣臭はほとんどしません。うむむ。これは失敗だったのだろうかしら。熊の旨味が味わえない?ま、作ったものは仕方がない喰いましょう。いただきます。
う!これは!牛肉とはまるで違う。確かに獣の肉だわ。繊維の質感や喰った瞬間の臭みが結構きます。御料人様が作ってくださった【特製蒸野菜サラダ】と赤ワインでいや、なかなか贅沢なディナーじゃないですか。取り敢えず、カレーだけで喰って赤ワイン。そしてお代わりは当然のカレーライス。ご飯がなければカレーじゃない。
ご飯と熊肉のコラボ。旨いです。旨いですが、敢えていえば「廃牛のホルスタインの腿かランプを使ったカレー肉」という感じがします。ご飯に合わせると余計に過去に喰ったカレーライスと比較してしまうからでしょうか、その感が際立っちゃいます。つまりは牛の方が食肉としては上質ということですね。当たり前の結論ですが。
そして、この時点でまだ半分以上(800g以上)の熊肉が残っています。ここはあれですか、やはり正統派の味噌鍋(猟師鍋)にしちゃった方がいいのでしょうか?巷ではこれをトマトソースとハーブで煮込んだりしているみたいなのですが。
既に肉を持て余している感が漂っています。
どこかのお店に持ち込もうかという無茶なことも頭をよぎっております。