生誕祭は美味しい日「加奈井、原酒店」

先週末は私の誕生日でした。といってもそろそろオメデタイというよりも三途の川へのダイビングへ準備を進める一歩のようなものですが。とはいいつつ、当日は御料人様にお祝いして頂きました。ありがたいことです。

兼ねてからの希望で鰻。焼肉ではないところが私らしいといえばらしい。ホルモンXという案もあったのですが、あまりにも通いすぎということで却下です。神戸で一番のお気に入りである「加奈井」へと。焼肉ではないですが蒲「焼」で焼き繋がりということでよろしくお願いします。御料人様に予約して頂いてさて、お店へ。

まずはビールで乾杯。おめでとう、ありがとう。いつもの【先付け】をつまみながら鰻待ちです。このお店では注文を受けてから捌くので当然ですが待ち時間がそれなりにありますからね。下焼きした鰻が嫌いという訳ではないのですが、待ち時間も楽しめるのが鰻の醍醐味じゃあないですか。待つほどに旨さが増すというもの。

ちなみに、この日はほぼ満席。最近ご無沙汰だったのでちょっとびっくり。とはいえ丁度入れ替わりの時間帯だったみたいで、しばらくすると皆様お勘定でした。うん、よかった。捌きラッシュだったらどうしようかとちょっとビビったことは内緒。そうこうしているところに【骨せんべい】が出来上がったようで。こちらの骨せんべいが漢なのです。

まず太い。そして盛りつけ豪快。今回などは刺身用の魚の中骨も入っているという豪快さ。うふふ、旨い旨い。こりゃあいくらでも喰えますわ。つか、御料人様の手が止まらないご様子。うん、旨いからねぇ。負けてられないので私もがんがんと喰いまくり。すみません、肝焼きありますか？少しだけ、ええ、かまいませんお願いします。

ということでやって来た【きも焼】なのです。えーと。少しというか普通にたくさんありますが。一人一本は普通の量です。そして一本のボリュームも結構ものです。取り敢えず頂く。う、旨い。この苦みが実に旨い。日本酒に合うんですよね、日本酒に。ということで日本酒タイムに突入。冷やで二合。御料人様は舐めるだけ。ほとんど私の酒、嬉しい。

そうこうしているところにいよいよ鰻たち。【白焼き】の登場。もう、見るからに旨そう。醤油で食べるのが普通かと思いますが、私にはわさびだけで十分。何といっても鰻の白焼きには甘味がある。これをわさびの香りと刺激で頂くのが至上の喜び。ばくり。う、ううー。ほろりと崩れてはらりと広がるこの幸せ。日本酒で流し込めば極楽浄土。

しっかりと二人で半分こにして瞬殺。あっという間。本当に溶けて流れてしまいました、胃袋に。そして丼が登場。【鰻丼　梅】です。こちらでは梅が一番大きいのです。当然ですが梅です。それ以外に選択肢がない。御料人様はご飯少なめで梅。もうね、鰻が飛び出さんばかりにほっこりむっちり。がっつがつと頬張ります。

すると、もう、タレと鰻がご飯と共に口腔内狭しと大暴れ。暴れん坊将軍。鰻丼評判記なわけですわ。白馬に乗って海岸線を疾走するかの如くの旨さなのです。もうね、無理。箸が止まらない。がふがふとアッという間に平らげて。【肝吸い】の肝のブリブリ感にも感動しつつ御馳走様。というかあっという間過ぎて自分でビックリした。

いやー大満足。やはりこの店は何といっても一番大好き。お江戸の鰻を神戸で食べるにはここが最高なんじゃないでしょうか。ということで移動なのです。

せっかく美味しい鰻を堪能したので、私の我が侭で美味しい日本酒が頂きたくなったのです。ほら、鰻なんてのは和の象徴じゃないですか。ええ、言い過ぎですけどそのくらい心が和の神髄を感じてしまっているんですよ。なので【大黒正宗】の燗酒で火照りを沈めなければなりません。で、軽く一杯。鰻で時間を食ったので本当に一杯だけ。

いつもながら美味しいお燗を頂いて早々に御馳走様でした。さすがにこれ以上は喰えない呑めない満足感。なので翌日にケーキを頂きました。御料人様がわざわざ私好みの超チョコケーキを買ってきてくださったのです。もうね生地までチョコ。濃厚。大好きなんですわチョコケーキ。これにスパークリングワインで乾杯。

いやー幸せな一日でした。棺桶に一歩近付いたものの、むしろ天国に近付いてるんじゃないの？と勝手な解釈してしまうほどの幸福感。誕生日って案外いい物かも知れませんね。

しばらくは質素にしないといけないほど喰いすぎましたが。
ま、旨かったので何一つ後悔はありませんが。