私もお酒を飲める年頃になって四半世紀が過ぎました。そのころに行き始めたお店が今月一杯で閉店されるということで、昨夜行って参りました。
二十代を一緒に過ごした友人が、大阪に移ってしまった為にそのお店「城戸」へはなかなか行けないかったと。それでは最後にご一緒しましょう。そう、まだ血気盛んな怖いもの無しで呑み歩いていた時代を一緒にした友人ですから、当然城戸さんにもお世話になっております。その頃の神戸はまだまだ深夜までお店も営業していました。その中でも明け方まで呑めたお店でした。
昔は開店と同時に店に飛び込み、ホルモンと腹の膨れるメニューをビールでかっこんで夜の街へと。そして明け方近くに再び戻ってきて始発まで呑む。戻ってきた私達に「おー、お帰りー」と声をかけて下さる城戸さん。そんな時代でした。いやー自分たちも元気でしたが城戸さんもそれに輪をかけてお元気でしたねぇ。よくお客さんと喧嘩してたし。
とまぁそんな話を懐かしむ為に、開店時間の五時にお店の方へ。既に予約で満席。ま、その時点では他にはお一人のお客さんだけだったんですが。で、なんとか私達二人分の席を確保して頂いて、ではビールで乾杯を。お話を聞いていると、我らと同じようにお店の最後にもう一度、というお客さんが多いようで連日満員だそうです。
取り敢えず、ビールの肴に【キムチ】をいただく。実はこれも昔と同じ。お一人で料理を作られるのですぐにつまめるものを頂く。しばらくすると【レバ刺】がやって来ました。関西では珍しい豚のレバ刺。震災前は豚の生なんてのは神戸ではここだけだったかも知れません。最近は流通も良くなったのか鮮度の良いレバーを置いているお店もちらほら見かけますけどね。
このレバ刺が実に旨い。さくりとした歯触りと牛よりも爽やかな独特のレバーの旨味がサーっと広がる。ああ、やはりこれはなかなか余所では喰えないね。そういえば本日は水曜日。本当に最後のレバ刺ですね。なんでも以前は一日一頭分のレバーだったのが、このところの大繁盛で一日四頭分捌いているとか。しかも注文があってから切るので大変だそうです。
そうこうしているうちにお客さんが入ってらっしゃる。そして気がつけば立錐の余地無く満席。ゆっくりと待っていると【モツ煮込み】が出来ました。これには日本酒が合うんですよねぇ。味噌の風味と日本酒は最強です。そしてモツ煮込み。自宅でいくら作ってもこの味が出ない。レシピの問題ではないんでしょう。この店の空間で作るからのこのお味。
いよいよ城戸さんの手も止まらなくなってきました。ひっきりなしにかかってくる電話は席が空いているかの確認。「無理です」と断り続ける表情も曇りがち。そりゃそうでしょう。閉店までに一目会いたくてやって来る人ばかりなのですから。そして【ガツ刺】も出来てきました。お、今日のガツは今まで喰った中でも最高に分厚いよ?
もうねガツが枯れていないの。ボイルしてあるんですがブリブリに歯応えがあるそして脂肪甘い。うーん、これは参った。最後の最後に喰うガツ刺がこれほどに旨いとは。最早感動ですね。すっかりとやられてしまいました。これを最後に喰っちゃったら、未来永劫このお店の味を思い切り美化してしまいそうです。「昔喰った城戸のガツ刺は最高だった!」と。
さて。お店に入ってもうすぐ三時間。その間に入れなかったお客さんは十組では足りないほど。これで最後かと思うと名残惜しいのですが、お後の方に席を譲ることにしましょう。私達以外にも城戸さんにお会いしたい方もいらっしゃることでしょう。ということで御馳走様でした。最後にがっつりと握手をして、これまでの御礼を言えたのが幸いです。どうかお元気で。
久しぶりに昔を懐かしめました。古い友人と昔からの馴染みの店。まぁ長いこと呑んでいるんだなぁという実感でした。さぁて、これからは「城戸」くらい旨い次の店を探さねば。
僕たちの旅はまだ始まったばかりだから!
永遠の阿呆餓鬼ダメオヤジです。
串焼き・ホルモン 城戸
兵庫県神戸市中央区中山手通1-9-6
TEL.(078)321-3267
おお、来てくださったのですね。
最近、よく「てつやが来てくれた」って言ってます。
今までありがとうございました。
こちらこそ本当にお世話になりました。
また何かありましたら駆けつけますのでよろしくおねがいしますm(_ _)m