朝の寒さに慣れた頃に急に暖かくなるとせっかくの心の準備を無駄にされてしまった悲しみに暮れている、貴方のてつやです。
今年は酉年。そして平成二十九年ということで、鳥肉の年とカーネル・サンダース卿がおっしゃっています。なので鴨鍋を食べに行って参りました。今回は日帰り遠出の旅です。滋賀は「丁子屋」まで。欲望という名のJRで湖西線に乗り換え、はるばるやって来ましたとも。移動時間だけなら台湾に着いてしまいそうな、そんな気分です。
お店はその佇まいが歴史を感じさせてくれる素晴らしさ。ああ、神戸は遠くになりにけり。早速お店の中へと。なかなか予約が取れないということですが、当然のように全てのお座敷が人でいっぱい。部屋は二階ということで階段を上ろうとしていきなり梁で頭部強打。うん、古い日本家屋は要注意です。
二部屋を仕切取っ払いで大部屋に。窓の外は雪が積もってます。ああ、いい風景だ。
さて、早速お料理です。というか料理が出来るまでのつなぎですね。【稚鮎の飴煮】を摘まみつつビールで乾杯。あー、ワイン会なのでビールは乾杯用です。ポリポリコリコリとビールの肴に持ってこい。
で、その間に【モロコの炭火焼】がすすんでます。軽くきつね色になったらOKということで早速。おう、はらわたの苦みが何とも大人の味。よく焼くとそれもなくなるのですが、半生な苦みが個人的には堪りません。そうこうしている間に次々と抜栓されるワイン達。
さらに【鰻の蒲焼き】が。これがつまみという所にこの会の恐ろしさが。あ、脂がのりすぎてないからいいかも。これも軽く炙って皮目がじゅわっといいはじめた辺りで十分。旨いです。
滋賀といえば琵琶湖、琵琶湖といえばこれを忘れちゃいけません。【鮒寿司】ですよ、奥さん。鮒寿司といえば熟れ寿司。いわゆる臭いということになるのですが、なんのこの鮒寿司、まさにチーズの発酵臭。そう恐ろしくワインに合う魚料理。こりゃ旨い。白でも赤でもワインと相性がよいのです。
いやー堪らんぜ。そしてこいつを摘まんでいる後では、お店のお姉さんによる【鴨鍋】が始まっているのです。美しい鴨の肉が皿にいっぱい。
まずは鴨といえば葱なので葱をぐつぐつと。
そこへ鴨が投入されて煮上がれば最強の鍋です。ええ、最強ですとも。ご近所の運河で週末になると観察に行く鴨ですが、鍋になると違った意味で愛おしい。内臓から赤身まで全てが旨いのです。うはー、こりゃ旨い。滋賀まで日帰りできた甲斐があるというものです。口中を万遍なく広がる肉の旨味に恍惚となるのです。
そしてさらにうどんを投入。味噌仕立てではないのですが、焦げ付く寸前までしっかりと煮あげたうどんは普段の鍋後のうどんとは一味も二味も違います。
最後にお饅頭を頂いて口直し。いやー実に美味しかった。流石は鳥肉年。堪能させていただきました。
あまりにも楽しかったのでこのまま一泊して帰りたいところですが、夜は夜で予約でいっぱい。仕方なく帰路へとつくのです。JR車中からの景色はやはり雪模様。見ているだけで寒いです。
という実に有意義な鴨鍋の旅が終わりました。これだけ美味しく頂ければ鴨さんも成仏していただけるでしょう。幸せな冬の一日でした。
やはりジビエは旨いのです。
最近、ジビエが多いのは気のせいでしょうか。
今回のお店:
丁子屋
滋賀県高島市今津町今津56
TEL.(0740)22-2040