しかし暑いですねぇ。この間、ふと気温を見たら36度だとか。普通に体温と同じくらいじゃないですか。これはなんですか、真夏の空気が私をしっかり包み込んでいると、こういう訳ですか。夏の抱擁は勘弁して頂きたいものです。

こういう時には涼を求めて高地へと旅するのも一興。というか、ついこの間、北海道という北の大地から帰ってきたばかりだというのに旅立ちたい気分なのです。関西で納涼といえば京都の「川床」がありますが、流石に思いつきで行くにはちと遠くて予算オーバー。では神戸ではんなりいたしましょう。そう、神戸の祗園さんへと。

「はんなり祇園」は兵庫区は平野・祗園さんのお膝元。公共交通機関がバスということになります。いや、自転車でも行ける距離ではありますが、坂を上り続けるには気候が暑すぎる、そして酔っぱらっての自転車の運転は道交法違反ですから。なにより危険きわまりないです。なので神戸駅のバスターミナルから欲望という名の神戸市営バスに乗って。

てろてろとバス停近くまで来たところ乗ろうとしていたバスが来た様子。これは！と飛び乗ってみたのですが、どうやら向かう方向に不安が。ええ、「110系統」のバスに乗ろうとして「11系統」に乗ってしまいました。0が足りないよ。そして行き先は「平野」に行くつもりが「夢野」についてしまったという間抜けなオチ。

仕方がないのでようやく陽が落ちてきたのを良いことに歩いてお店まで。結構歩いたよ...。ということで無事到着。あまりにも暑かったのでまずは生ビールを一杯。ふう、ようやく人心地。さて何から頂きましょうか。「ポテトサラダどうですか？マヨネーズを使っていませんよ」とのこと。ではそれを。【ポテトサラダ】から。

これがまたなんとも旨い。和の食材と魚介を芋で繋いだサラダ。ビールにも勿論合いますが日本酒に堪りません。ということで早々にビールを切り上げて日本酒走ってみましょうか。すみません、お勧めの日本酒ありますか？で、やって来たのが【米米酒】というお酒。きりっと冷やした冷酒。私のリクエストが甘いお酒ということだったので甘いです。

ただし、甘いの方向性がちょっと面白い。何というのか、日本酒で造る梅酒の梅がない感じ。日本酒の持つ甘さとは一味違う甘味。きりっと冷えていますのでいわゆる食前酒っぽいのです。おお、これは旨い。しかし料理に合わせるには難しいお酒ですね。私は美味しく頂きますが、他のお客さんからは拒否されてました。うむ、そうかも知れない。

さてやはりこのお店では魚を頂くのがいいでしょう。【鯛の造り】をいただきます。ご店主がお勧めの鯛。うは、しっとりと旨い刺身だ。北海道で散々魚は喰いまくりましたが、瀬戸内の魚はまた違うものですね。こっそりとメジロも味見用に潜ませて頂いたのでこちらも頂く。あう、さらりと脂がとろけます。案外甘い酒とも合うんですねぇ。

メニューの片隅に【ホヤの塩辛】ってのを見つけましたのでこちらも。ちみちみと頂く珍味。旨い旨い。さて、気になっていたマグロを。【奄美本マグロの三種盛り】で。背中上、赤身、中トロの三種を盛り合わせて頂いて。これが旨いんだわ。赤身が崩れそうにとろける。身が甘い。ああ、何だこれは、幸せの赤い結晶だぁ。

せっかくなのでお酒をお代わりしちゃいましょう。【香田（こうでん）】は三年熟成を二年寝かせた古酒。ラベルに燗向と書かれているように、冷やしたままだと古酒独特のヒネがあります。これをマグロに合わせると結構旨いのが不思議。確かに吟醸酒や辛口の酒よりもこういうちょいとクセのある酒の方がマグロの深い旨味に負けないのかも。

最後に一品、【本マグロの皮　炙りポン酢】も頂きます。そして調子に乗って更にお酒もお代わり。春鹿の【青乃鬼斬】を。これがまたすっきりしたお酒。実は山廃はあまり好みではないのですが、これは実に旨い。まぁその前に飲んでいた酒が個性的だったせいもあるかも知れませんが。しかしこれがマグロの皮に良い感じで合います。いやいや、これは幸せだわ。というところでお店の方も満席になってきました。

後のお客さんのために席を空けることにしましょう。どうも御馳走様でした。幸せなひとときをありがとうございました。このお店に来るとほんとうにゆったりとした時間が流れます。帰り道は下り坂なのでぼちぼちと歩いて帰りました。バスに乗ったら寝過ごしそうに気持ち良かったものですから。我が家から一番近い京気分を味わいました。

でもBGMが沖縄民謡だったりするんですけどね。
それもこのお店の個性なんですよね。

2010年7月26日 16:33